労働相談Q&A・差別的な扱いについて

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労働相談Q&A・差別的な扱いについて

Q.使用者は、国籍や信条、身分を理由として、賃金や労働時間などの労働条件について、差別的な扱いをしてもいいのでしょうか?

A.使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはなりません(労基3)。国籍とは、国家の所属員たる資格をいい、人種とは、生物学的、人類学的な種別をさします。また信条とは、思想や信念、人の内心におけるものの考え方をいい、宗教的な信仰のほか、政治的な思想・信念なども含まれます。 使用者が、原告が共産党員であることを理由の一つとして、査定差別を行ったと推定し、労働基準法違反と不法行為の成立を認めた判例があります。(東京電力(千葉)事件・千葉地判平6.5.23労判661号22頁)ただし、労働者の信条に基づく行為が現実に企業秩序や職場規律、企業の運営などを侵害した場合には、これを理由とする解雇や懲戒処分は労働基準法に違反しません(判例・通説)。上記のような差別的な取扱いをしたことによる違反に対しては、6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます。また不法行為の要件を満たせば、民事上の損害賠償請求もできます。

 

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